8.4. 減数分裂 : 有性生殖の基礎
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「同類は同類を産む」
結果として有性生殖は子孫間に途方もなく大きな多様性を生じさせることができる
有性生殖は減数分裂と受精という細胞レベルの過程に依存している 相同染色体
単一種の異なる個体(ここでは1つの性に着目して)の細胞を調べると、それらの細胞は同じ数と型の染色体を有することが認められる
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有糸分裂の中期におけるヒト細胞を(スライドグラスに)圧しつけて展開し、染色体を色素で染めて顕微鏡で写真を撮り、対になった染色体を配列したもの すべての(または大部分の)染色体には、長さとセントロメアの位置が似ている「双子」の相手があることに注意せよ
同じ遺伝形質を支配する遺伝子を担う対になった2本の染色体
とはいえ、2本の相同染色体は同じ遺伝子の異なる型を有するかもしれない
言い換えると、1対の相同染色体は2つのほぼ同一の染色体を有し、それぞれの染色体複製後には2つの全く同一の姉妹染色分体からなる ヒトは23対の相同染色体を有している
個体の性を決定している染色体
ヒト女性では46本の染色体が23の相同対となり、各対のメンバーは外見では本質的に同じ
男性と女性の両方に認められる性染色体以外の染色体
常染色体と性染色体の両方について、我々は母親と父親から各対について1本ずつ染色体を受け継いでいる
配偶子と有性生物の生活環
多細胞生物では、1つの世代の成熟個体から次の世代の成熟個体に至るまでの一連の段階 両親からそれぞれ1組の染色体を受け継ぎ、合わせて2組の染色体を持つことは、有性生殖で増殖するヒトや他の多くの種の生活環において鍵となる要因
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ヒト(殆どの動物と数多くの植物も同様に)は、すべての体細胞が対になった相同染色体を持っている
染色体数は$ 2nと表現される
一組の染色体をもつ細胞は一倍体細胞と呼ばれる
各相同染色体対の一方のみを有する
ヒトでは$ n =23
ヒトの生活環において、父親からの一倍体精子は母親からの卵と融合する
すべての有性生活環では二倍体期と一倍体期が交代する
減数分裂によって世代ごとに染色体数が倍々に増えていかないようになっている
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減数分裂の過程
染色体の数が半分に減じられること
減数分裂の結果から生じる4つの娘細胞のそれぞれは一倍体の染色体組を有している
減数分裂の第二の特異的な特徴は、遺伝物質(染色体の断片)の交換
交差が生じる前は姉妹染色分体は全く同一であり、担っている遺伝子はすべて同じ
まとめ : 有糸分裂と減数分裂の比較
親細胞と遺伝的に全く同じである娘細胞を生じる
遺伝的に特異な一倍体娘細胞を生じる
有糸分裂と原始分裂の両方で、染色体は分裂前の間期にただ一度だけ複製される 減数分裂では二度の核分裂と細胞質分裂を行い、4つの一倍体細胞を生じる 減数分裂に独特な事象のすべては第1減数分裂で生じる
第2減数分裂は、姉妹染色分体を分離させることでは有糸分裂と実質的に全く同じ
遺伝的変異の原因
有性生殖の結果として生じた子は両親や他の子と遺伝的に異なっている
染色体の自由な組み合わせ
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染色体が中期Iに整列したとき、各相同染色体対の配置は偶然の事象
2通りの整列の仕方がある
この生物からは染色体の4つの異なる組み合わせを有する配偶子が生じるであろう
どの朱においても、配偶子に現れる染色体数の組み合わせの総数は$ 2^nで$ n は一倍体の染色体数
ヒト($ n=23)では$ 2^{23} = 8388608
これは、ヒトが生成するあらゆる配偶子が母性染色体と父性染色体の約800万通りの可能な組み合わせの1つを持つことを意味している
無作為受精
1個のヒト卵細胞は、約800万の可能性の1個に相当し、約800万の可能性の1個に相当する1個の精子によって無作為に受精する $ 2^{23} \times 2^{23} = 70368744177664
約70兆の組み合わせのどれか1個の二倍体接合しを生じさせることになる
交差
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交差が始まる時期に、相同染色体はその長軸方向に沿って接し、同じ遺伝子同士が正確に向かい合う配置をとるようにした一対になる
X形をとった領域として見える交差部位
相同染色分体は後期キアズマでたがいに接着したまま
非姉妹染色分体(1本の母性染色分体と1本の父性染色分体)の間での断片の交換は有性生殖の結果として生じる遺伝的変異を増す
なお、この方法で生じる遺伝子の組み合わせの創出は親の染色体にあるものとは異なる
減数分裂の異常
減数分裂での偶発的異常が染色体数を変え得る
ヒトの体内では、減数分裂が絶えず生じていて、睾丸と卵巣で配偶子が生じている
ほとんどいつでも、減数分裂の紡錘体は染色体を誤りなく娘細胞に分配する
染色体対の一員が後期に分離し損なう
染色体不分離は第1減数分裂と第2減数分裂で生じ、どちらの場合も異常な数の染色体をもつ配偶子が作られる
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正常な精子が過剰な染色体を持つ卵と受精すると、その結果合計$ 2n + 1の染色体をもつ接合子になる
有糸分裂は、その後すべての胚細胞に異常を伝達する
その個体は生き残るとしても、異常な核型と十中八九は異常な数の遺伝子に起因する疾患症候群を持つであろう
ダウン症候群 : 第21番染色体過剰
第21番染色体が3本あり、合計で47本の染色体になる核型
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殆どの場合、異常な数の染色体をもつヒト胚は異常に発生し、誕生しないうちに自然に流産する
しかし、ある種の染色体数の異常は遺伝的平衡の乱れが比較的少ないので、そのような異常をもつ個人は生き残りうる
これらの人々は、通常は症候群とよばれる特徴的な一連の症状をもっている 700人中1人が冒される21トリソミーは最も一般的な深刻な異常出生
ダウン症候群は特徴的な顔貌(目の内側にある皮膚のひだ、丸い顔、および平になった鼻)と短身、心臓欠陥、白血病およびアルツハイマー病に対する感受性を含む ダウン症候群をもつ人々は通常、健常者よりも寿命が短い
しかし、ダウン症候群を持つ人は中年または中年を超えて生存しうるし、多くは社会的に熟達し、社会で十分に役目を果たせる
正常な両親の子におけるダウン症候群の発生率は母親の出産年齢とともに著しく増大する
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ダウン症候群は30歳以下の女性が産む子どもが冒されるのは0.05%以下であるが、その危険率は40歳の母親では1%、高齢の母親では一層高くなる
このため35歳以上の妊娠女性は21トリソミーおよび他の染色体異常についての胎児試験の対象者である
性染色体数の異常
減数分裂における染色体不分離は常染色体だけではなく、性染色体数の以上も引き起こしうる
異常な性染色体数が、異常な常染色体数よりも遺伝的平衡を乱すということは少ないようである
これはY染色体が非常に小さく、比較的少数の遺伝子を担っているためらしい
なお哺乳類の細胞は1本の機能するX染色体だけで正常に働く というのは、X染色体の他のコピーが各細胞で不活性化されるから
最も一般的なヒト性染色体異常
table: 表8.1 ヒトにおける性染色体数の異常
性染色体 症候群 染色体不分離の原因 集団頻度
XYY なし(正常男子) 精子形成における減数分裂 1/2000 XXX なし(正常女子) 卵または精子形成における減数分裂 1/1000 クラインフェルター症候群をもつ男性
男性器官および正常な知能を有するが、睾丸が異常に小さく、不妊で、しばしば乳房が大きくなり、他の女性的体形を有する
XXYY、XXXYまたはXXXXYのように3本以上の性染色体を有する人にも認められる
1本の過剰Y染色体(XYY)をもつヒト男性
いかなる明確な症候群も有していない
身長が平均よりも高い傾向がある
過剰X染色体(XXX)をもつ女性
核型を除いてXX型女性と区別できない
短身およびしばしば首と肩との間に広がる皮膚の膜を含む独特な容貌を有する
性器官が青年期に十分に成熟しないので不妊であり、乳房および他の二次性徴の発達が不十分
しかし、彼女らは一般に正常な知能を持っている
XO型は、ヒトでは45本の染色体しかもたないことが致命的でないとわかっている唯一の事例
個々で述べた性染色体異常はヒトの性の決定におけるY染色体の決定的な役割を示す
X染色体の数にかかわらず、1個のY染色体が「男性的」であるのに十分である
Y染色体が欠損すると、なんらかの程度「女性的」になる